円覚寺

工業高校の先生が、何度か首里にある円覚寺に連れて行ってくれた。樹木に囲まれた境内に寺院が並ぶ。伽藍の太い円柱、厚い壁板、重そうな梁、肘木、升組みなど、先生は詳細に、丁寧に、教えてくれた。僕は建築科の生徒だったが、建物自体に興味は湧かなかった。楼門の上で古い匂いのする羅漢さんの頭を撫で、お辞儀をした覚えがある。通常は出入りができないという山門にいる羅漢さんたちは、埃をかぶっていたのだった。風呂敷包みを抱えたおばさんが、子どもたちを連れて参拝に来ていた。僕も仏さんを拝んだのだったか、それが思い出せない。ただ円覚寺を懐かしく思う気持ちだけが、しきりと湧き上ってくる。