志慶真乙樽は、琉球王国誕生から更に100年近く前の人物で、伝説として今に語り継がれる女性である。まるで神のように気高く美しいと讃えられた彼女の噂は今帰仁城にいる北山(ほくざん)の王にも届き、彼女は今帰仁城で側室として迎えられた。
しかし王妃・乙樽ともになかなか世継ぎを設けることができず、王はついに我が子に会うことなくこの世を去る。その後、王妃は無事に男児を出産するが、後継者誕生の祝宴が城内で開かれた夜、重臣の一人である本部大主(もとぶうふしゅ)によってクーデターが起こる。城内が混乱する中、乙樽は潮平大主(すんじゃうふしゅ)と共に、王妃と王子を連れて脱出を図る。しかし、産後間もない身体の王妃は、逃げ延びる体力を失い、乙樽に王子を託して川に身を投げてしまう。山に隠れて危機を脱した乙樽たちは更に南を目指すものの、乙樽は女性である自分自身が足手まといになり王子が逃げ遅れてしまうことを恐れ、王子たちと別れることを決意する。
その後、成長してからも身分を隠して今帰仁城奪還の機会を待っていた王子は、かつての家臣と共に今帰仁城を攻め落とすことに成功する。それを知った乙樽は今帰仁城へと駆けつけ、王子と18年ぶりの再会を果たす。乙樽は北山の最高神女としての地位を授かり、王子を支え続けた。