王国の終焉を内側から記録した「琉球見聞録」の著者
喜舎場朝賢(きしゃばちょうけん)
1840~1916
近世琉球 後半(第二尚氏王朝時代)
列強の波と王国の落日(19世紀)
喜舎場朝賢(きしゃばちょうけん)は琉球王国の崩壊期に尚泰王(しょうたいおう)に仕え、王府内の動静を詳細に記録した人物です。彼が著した「琉球見聞録(りゅうきゅうけんぶんろく)」は、明治政府側の史料「琉球処分(りゅうきゅうしょぶん)」と並ぶ重要な史料です。1840年に首里の儀保に生まれた朝賢は、下級士族の家庭に育ち、勉学に励み王府の最高学府である国学(こくがく)に進学しました。その後、津波古親方に師事し、通訳としても活躍。1868年には尚泰王の側仕に任命され、琉球処分を巡る複雑な情勢に直面しつつ王を補佐しました。琉球国が廃止されると、無禄士族となった朝賢は政府の助成金で荒蕪地を開墾し、困難な状況を乗り越えました。また、著書や新聞投稿を通じて琉球の歴史と文化を後世に伝えました。「琉球見聞録」は30年近く未公開のままでしたが、沖縄文化研究の礎を築いた伊波普猷(いはふゆう)の協力により出版され、朝賢の遺したかつての琉球王国の姿を私たちに語りつづけています。