月燦々うふたびら

勝連半島へと抜ける石畳の坂道・大田坂(うふたびら)。中学生の頃の夏休みに、親友三人で汗だくになりながら登った。敗戦して三年が経った頃、叔父さんに連れられ、今度は月夜の晩に歩いた。「この坂は昔、侍道といった」と、教えてくれた。あの夏、親友たちと見た農家の佇まいは、そこにはもうなかった。降り注ぐ月光の雫を浴びて、この静寂のなか、ランプの仄明かりが望めたであろうにと、ひとり残念に思った。